セルフネグレクトとは?原因と事例をおさらい
近年、若者にも増加している「セルフネグレクト」について解説していきます。
セルフネグレクトとは、自分自身の健康を守るために必要なことを怠けてしまうことであり、この症状を放置すると、重度の健康問題や社会的孤立、死亡に至ることもある問題です。
本記事では、セルフネグレクトの説明から、近年若者に増えている要因やその事例、そしてセルフネグレクトに陥りやすい人々や予防策・対処法についても詳しく解説していきます。
目次
セルフネグレクトとは?
セルフネグレクトとは、自分自身の身体的・精神的な健康を維持するために必要な基本的なケアを怠ることです。
つまり、自分に対して興味がなくなって、自分を大切に扱えなくなってしまう症状だと言えます。
また、セルフネグレクトは、自己の健康状態を悪化させるだけでなく、周囲にも影響を与えることがあります。
その例として、セルフネグレクトに陥っている人は、自分自身の生活環境を放置することがあるため、部屋の掃除や整理整頓、ゴミの処理などが滞り、部屋がゴミ屋敷になることがあります。
このような事例においては、異臭を撒き散らしたり、景観を損ねるなどの悪影響を周囲に与えてしまうため、本人だけではなく周囲にも迷惑をかけてしまいます。
このようにセルフネグレクトは、自分だけの問題ではない点で社会問題となりつつありますが、その原因は多岐に渡ります。
例えば、社会的孤立やストレス、うつ病などが原因となる場合や、そもそも自己の健康状態を維持するための知識やスキルが不足している場合などがあります。
様々な原因でセルフネグレクトに陥る可能性があるため、誰でもなり得る症状ですが、このセルフネグレクトを放置すると、重度の健康問題や社会的孤立、最悪の場合は死に至ることもあるため、自己の健康状態を定期的にチェックし、早期に必要な治療を行うことが重要です。
また、自分自身では症状に気づけないことも多くあるため、周囲の人々が気づいた場合には、早期に専門家の支援を受けさせてあげることが重要です。
セルフネグレクトチェック
前項で解説したように、セルフネグレクトは早期発見と早期の対応が重要です。
将来的にセルフネグレクトにならないためにも、その兆候を自覚して早期に対応するために、自分がセルフネグレクトの状態になっているか、下記のチェック項目で確認してみましょう。
セルフネグレクトチェック18
- 健康診断を2年以上受けていない。
- シンクには常に食器が溜まっている。
- ゴミ出しが面倒で、たくさんたまっている。
- 最近趣味や興味を持つことがなくなっている。
- 水光熱費の支払いなどの滞納が発生している。
- 自分の部屋は足の踏み場がない部屋になってる。
- 一人暮らしをしており、一人で過ごす時間が多い。
- お風呂に入るのが面倒で、気を抜くと数日入らないことがある。
- 郵便ポストを1週間以上確認せず、満杯になっている。
- この1週間誰とも連絡を取っていないし、喋っていない。
- 家族や友人とのコミュニケーションが少なくなっている。
- 歯が痛いのに、歯医者に行かずに一年以上放置している。
- 休日は、人とも会わず、家でスマホやテレビを見て過ごすことが多い。
- 休日でも買い物や用事を済ませに行かず、家で一日中過ごすことが多い。
- 髭を3日以上剃らない、美容室に3ヶ月以上行かないなど、身だしなみに気を使っていない。
- 慢性的な頭痛や咳が止まらないなど、身体の調子が悪いが、医者に行かず放置している。
- スマホでラインやメールの返信を返すのが面倒で数日放置することがある。
- 栄養を考えずに宅配やインスタント食品で済ますことが多い。
上記のチェックリストに半分以上当てはまった方は、すでにセルフネグレクトの状態にあるか、将来的にセルフネグレクトに陥る恐れがあるため、心配な方はお近くの専門家に相談に行くことを検討しましょう。
セルフネグレクトになってしまう原因
セルフネグレクトは、高齢者が抱える問題として語られることが多いですが、近年では若者の間でも広がっています。セルフネグレクトになる原因には下記のようなことが挙げられます。
セルフネグレクトになってしまう原因
- 社会的孤立
- 精神的問題
- 身体的問題
- 経済的問題
- 家庭環境の問題
- その他の問題
上記のように、若者がセルフネグレクトになる原因は多岐に渡ります。
それぞれの要因について、簡単に解説していきます。
原因1:社会的孤立
若者がセルフネグレクトになる原因の1つ目は、社会的孤立です。
現代のSNSは、情報交換やコミュニケーションの手段として普及していますが、人とのリアルなコミュニケーションを減少させる傾向があり、人々を孤立させる要因となっています。
また、仕事や学校でのストレスや、地域社会との関わりの減少も、社会的孤立を引き起こす原因となっています。
原因2:精神的問題
精神的な問題であるうつ病や不安障害、自己肯定感の低下、トラウマ体験は、個人のセルフネグレクトにつながる可能性があります。
これらの問題は、自己のケアや健康維持に対する意欲を低下させ、日常的な生活行動の変化や身だしなみの放棄、健康状態の悪化などにつながります。
また、セルフネグレクトが進行することで、これらの問題が悪化する悪循環に陥ることもあります。
原因3:身体的問題
睡眠不足や不規則な生活リズム、栄養失調、薬物乱用やアルコール依存症は、セルフネグレクトの原因となることがあります。
これらの問題がある場合、個人は自己のケアや健康維持に対する意欲を失いがちであり、身だしなみの放棄や健康状態の悪化などが生じることがあります。
原因4:経済的問題
セルフネグレクトにつながる経済的問題としては、貧困、就職難、高額な医療費や学費の負担が挙げられます。
経済状況が悪化すると、生活水準を保つことが難しくなり、自己ケアや健康維持に割ける時間や労力が減ってしまうことがあります。
例えば、学業やアルバイトなどで忙しく、自己の健康状態を維持するための時間が取れない学生などが挙げられます。
原因5:家庭環境の問題
家庭環境の問題、例えば親との関係の悪化、虐待やネグレクトの経験、離別や死別の経験は、セルフネグレクトの原因になることがあります。
これらの経験は、自己価値感や自己肯定感を低下させ、人間関係や社会的サポートの欠如、不安やうつ病の発症などにつながる可能性があります。
原因6:その他の問題
自己管理能力の低下、自己否定的な思考や行動、自己啓発の欠如なども、セルフネグレクトを引き起こす要因であり、これらの問題は個人の能力や意欲を低下させ、セルフネグレクトの原因となります。
また、若者の場合は、健康維持するための知識や経験が不足していることが原因となることもあります。
例えば、若者は、健康的な食生活や運動の重要性を知らない、自己の健康状態をチェックする習慣がないことが多くあります。
これまで実家で暮らしていた人が、大学入学や入社を機に一人暮らしを始める場合などに、自分以外に自分を管理してくれる人がいなくなるため、セルフネグレクトの症状が起こる可能性が高くなります。
事例から見る若者のセルフネグレクト
事例1:社会的孤立を背景にした事例
事例
ある若者は学生時代に友人と疎遠になってから、社会に出ても新しい友人ができなかった。一人で暮らしているため、外に出ることが少なくなり、自宅での過ごし方に限られるようになった。そんな中、職場でのトラブルもあり、仕事に行くことも辛くなっていた。やがて、自分に自信がなくなり、自分を否定するようになった。自宅に引きこもり、部屋が散らかり、そんな状況を引き起こしている自分自身が嫌になってしまった。
事例2:精神的問題を背景にした事例
事例
Bさんは、周りに馴染めずにいつも一人でいることが多かった。そんなある日、友達グループから突然のイジメを受けるようになってしまった。それ以来、Bさんは不安や恐怖を抱え、自分に自信が持てなくなってしまった。 Bさんは自分を責め、何もかもうまくいかないと思い込んでしまい、学校に行くことも、友達と遊ぶことも、自分自身を大切にすることもできなくなってしまった。彼女の外見も荒れ果て、身だしなみも整えることができなくなってしまった。
事例3:身体的問題を背景にした事例
事例
Cさんは、大学のサークルの活動や飲み会で、夜更かし習慣がつき、朝起きるのがつらくなっていた。その後も夜更かしを続けていたため、就寝時間が遅くなり、日中に眠気に襲われるようになった。気力がなくなり、食事を抜いてしまい、さらに疲れがたまり睡眠時間が減少。体調を崩し、通院が必要な状態にまでなっていた。だが、医療費を抑えようと病院通いを控えたため、病状が悪化していった。結果、日々の生活に支障をきたし、最終的には自宅で倒れ、救急搬送された。
事例4:経済的問題を背景にした事例
事例
夢だった会社の内定を断られ、その後の就職活動で採用されることができなかったDさんは、徐々に自信を失っていった。何度も面接を受けるが、毎回不合格。やがて応募すらする気力がなくなり、家で引きこもる日々が続いた。 だんだんと家事も放棄していき、洗濯物や食器が山積みになっていく。偏った食事も続け、体調を崩すことが増えていった。しかし、医者に行くお金もなく、どんどん悪化していく身体を放置してしまった。
事例5:家庭環境を背景にした事例
事例
高校生のEさんは、幼少期から母親との関係が悪く、母親からの理不尽な責めを受け続けていた。Eさんは母親からのストレスから自己評価が低くなっていた。入学後、Eさんは学校生活で新しい友人を作り、プライベートでもアルバイトをしていたが、母親はアルバイトに対しても否定的な態度を取り続け、家に帰ると罵倒を繰り返すようになった。そうするうちに、Eさんは自分に自信を持てなくなり、無意識に自分自身を無視するようになってしまった。結果的に、栄養失調や睡眠不足に陥り、さらには自傷行為にも走るようになってしまった。
以上に、若者のセルフネグレクトの事例を5つ挙げましたが、どの事例も放置しておくと命に関わるような事例になります。
上記のような状態に陥っている方は、すでにセルフネグレクトになっている可能性が高いため、早急にお近くの専門家に相談することをおすすめします。
セルフネグレクトは、早期発見・早期治療が重要な症状です。
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この記事の監修者:谷澤 直樹
株式会社FIX 代表取締役
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・特殊清掃案件にこれまで1,000件以上携わった特殊清掃のプロ。
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