特殊清掃、死後1ヶ月の孤独死現場の原状回復手順とは?
孤独死が発覚した場合、その後のお部屋の現状は、死後1ヶ月以上が経過すると非常に深刻な状態になってしまいます。
ご遺体の腐敗が進行し、お部屋全体が病源菌や細菌などにより汚染されている可能性が高まります。
そのため、専門的な知識と技術を持つ私共トータルクリーンアップのような業者に依頼することを強くお勧め致します。
お部屋は、かなりの年数を経ていたり、老朽化した建物でない限り、次にどなたかの新しい住処として生まれ変わります。
しかし、この万が一の事態において、適切な処置または原状回復をされていないと、次の住居としての機能を発揮することができません。
本記事では、特殊清掃における手順を解説し、どのようにお部屋が原状回復をされていくのかをご紹介いたします。
目次
特殊清掃の手順とは
除菌
お部屋に入りまず最初に行うべき作業は、部屋全体の除菌となります。
ご遺体から出た体液や腐敗臭が部屋全体に広がっているために、これを除去しなければ他の作業に移ることができません。
我々専門業者であれば、強力な除菌剤と特殊な道具(マイクロ粒子噴霧器)を使用して部屋全体を満遍なく除菌します。
※腐敗液による特殊清掃現場の危険性は後述で詳しく説明します。
汚染物の撤去・特殊清掃
次に、ご遺体があった場所周辺の汚染物の撤去から進めます。
汚染の中心部から更なる汚染拡大をしないように慎重な作業が求められます。
これには、専門的な知識と技術を必要とする作業となり、作業者も身を守るため全身に保護具を着用しなければなりません。
少なくとも、この工程が完了するまでは換気もできないため、夏場は部屋の温度が40℃を超えることも当たり前のようにあります。冬場でも特殊清掃員は大量の汗をかくほどの過酷な状況下に置かれます。
ほとんどの例でご遺体が床や壁に接地している関係上、影絵のように形が残っている場合がありますが、目に見える状況のみが汚染ではありません。
腐敗液やそれに基づく臭気の原因が流体である以上、お部屋は隅々まで汚染されていきます。
この汚染原因を除去し、床材または床下の構造材、壁材を撤去するこの工程を一般的に特殊清掃と呼ばれる所以になりますが、我々はあくまで一連のプロセスを特殊清掃と呼称します。
ウジやハエなどの害虫駆除もここで行います。
残置物の撤去(遺品整理)
汚染物が撤去された後は、お部屋に残された物品の整理に移ります。
これを遺品整理と呼び、ご遺族の意向を尊重しながら行われます。
簡単に言えば、価値のある物品または探し物、思い出の品などはご遺族に返却し、不要な物品は許可を得た業者および施設へ納入され適切に処分されます。
注意点として、物品が多く特殊清掃が進められない場合には、導線の確保や安全確保のため、ある程度の遺品整理を先に行うこともあり状況によりケースバイケースで作業を進めて行きます。
除菌清掃(ハウスクリーニング)
部屋が空になったら、主に除菌洗浄剤を使って部屋全体をクリーニングします。
これは、扉やサッシ、インテリアパネルなどの直接汚染ではない、解体撤去しない部屋の構造体が、ハエや空間汚染により細菌が付着しているため、そのすべてを洗浄し再利用できるように除菌清掃を行います。
換気、消臭を含み、部屋の異臭もこの時点でかなり緩和されていきます。
消臭・除菌
最後に、再度消臭と除菌を行います。
ここで主役となるのがオゾン発生器です。
これにより、部屋に残った微細な臭気や菌を除去し完全消臭となります。
※オゾン発生器については後述で詳しく説明します。
リフォーム
必要に応じて、解体した箇所などをリフォームします。
ご遺体の影響で床や壁が傷んだ場合や、部屋の使用目的を変更する場合などに行います。
腐敗性物質による危険性
孤独死による現場でみられる遺体の腐敗液にはどのような危険性があるのか、知る方は少ないのではないでしょうか。
遺体の腐敗液にはウイルスや細菌、病原体等が含まれている可能性があり、それらが体内に入り込むことによって感染症にかかる危険が大いにあります。
そのため、故人の通帳や印鑑などの貴重品類が必要になった場合でも、業者の除菌や清掃作業が終わるまでは室内に立ち入ることは避けましょう。
腐敗した遺体は長時間放置されると溶けて血液や体液の漏出が進んでいきます。
腐敗が進行すると体内にガスが発生し時間の経過とともに皮膚を突き破り体外に放出されます。
そのため、特に孤独死の場合には、長時間放置されて血液や体液が漏出するので感染症にかかるリスクが高まります。
ここで感染症とは、細菌やウィルス、寄生虫などの病原体が体内に入り込むことによって発熱や嘔吐、下痢などの症状をもたらす病気を指します。
そのため、先述の通り故人の通帳や印鑑などの貴重品が必要になった場合、感染症対策をとらずに現場に立ち入ることは極めて危険な行為ということになります。
オゾン脱臭・除菌について解説
オゾン脱臭のしくみ
オゾンを化学式に表すとO3で酸素分子にO2にもう一つの酸素分子Oが結びついて形成される気体となります。
オゾン分子O3の結びつきは酸素O2と比べるとかなり不安定であり、自然に分離して酸素O2に戻ろうとします。そして分離した酸素原子Oが臭いや菌などの有機物質と融合して酸化し、臭いの物質が破壊されます。
破壊した後に残る物質はオゾンO3から分離した酸素O2のみになり、有害な物質を出さず安全に脱臭できるという仕組みになります。空気清浄機とは異なり、臭いの元を取り除くことが出来る脱臭方法となります。
脱臭効果のある臭い
臭いを根源から取り除くことが出来るオゾンは、あらゆる種類の臭気に効果があります。オゾンで脱臭効果が見られる主な臭いは以下、
- 死臭
- カビ臭
- 生ゴミ臭
- タバコ臭
- 排泄物の臭い
- 排水溝の臭い など
ニンニクや発酵製品、魚の臭いにも効果的です。反応する成分としては、アンモニア2NH3や硫化水素H2Sなどが該当します。
アンモニア2NH3はオゾンO3に近づくことで、窒素N2と水H2Oの3つに分かれます。また、硫化水素H2Sは硫黄Sと酸素O2と水H2Oに分解されるため臭いを消し去ることが可能となります。
悪臭はオゾンから分離した酸素原子と反応しやすく、人が不快に感じる臭いの多くはオゾン脱臭で取り除くことが出来ます。
除菌効果
オゾンには脱臭以外にも細菌やウイルスの除去、虫の忌避、花粉の不活性化などの効果があります。オゾンは殺菌力が強いため、菌を不活性化させることで汚染現場等での作業時の感染症リスクを抑えることが可能です。
また、ダニやゴキブリなどの害虫が分泌するフェロモンを破壊できるため、虫を寄せ付けない忌避効果が期待できます。さらに、オゾンは花粉の細胞膜を破壊して不活性化させられるので、花粉を減らす役割も担います。
ただし、メインは脱臭であり、これらは副次的な効果にすぎません。害虫を駆除する場合は殺虫剤を使ったり、花粉症がひどい場合には空気清浄機を使ったりなど、状況に応じて適切な対応を取りましょう。
まとめ
孤独死から1ヶ月経過した部屋は、ご遺体の腐敗により深刻な汚染状態となり、その清掃は専門的な技術と知識を必要とします。
特殊清掃の費用は場合によりますが、一般的には数10万から100万円程度に及ぶ可能性もあります。
また、清掃だけではなく遺品整理やリフォームも必要となる場合があります。
安さを求め、やり直しが万が一発生すると更なる費用負担にもつながる恐れもあります。
業者選びの見極め方として、作業工程の組み合わせ方が重要です。
見積書がお手元に届いたら、納得のいくまで作業工程と内容への質問を繰り返し聞いてみて下さい。
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この記事の監修者:谷澤 直樹
株式会社FIX 代表取締役
▶資格
・特殊清掃技能士歴10年以上
▶経歴
・特殊清掃案件にこれまで1,000件以上携わった特殊清掃のプロ。
▶メディア出演
・「不動産投資の楽待 (らくまち)」YouTube
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